第六回 せいさいをはなつ

【精(生)彩を放つ】

・目立って優れた点が現れること。

・生き生きとした様が現れること。

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【類義語】

いきいきとした・冴えた・優れた・傑出

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【使用例】

一際精彩を放つ活躍。

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何気なく使っていた言葉ですが

精彩とは“放つ”ものなんですね。

 

異彩を放つ

異臭を放つ

一声を放つ

 

などなど、“放つ”とは 外に向かって

光、音、匂い、声を出す事。

または、世の中に物事を発表するという 意味があります。

放つという言葉。

 

この“つ”が

いかにも日本語という響きがあって

個人的には好きです。

 

【精彩】とは

 

“生彩”とも書き、生き生きした様子。

美しいいろどり、鮮やかなつやを指す言葉です。

美しい単語ですね。

 

日本の彩りについて考えるとき、

この言葉を思い浮かべるとき、

よく連想するのは

赤い椿が地に落ちる様子です。

 

 

思うところは色々あるでしょうが

まず、想像してください。

 

 

冬の世界です。

注目するのは地面です。

灰色がかってくすんだ色彩。

黒々とした土。

かなり前に落ちて雨や土にさらされ、

色を失った落ち葉。

雪が降っていれば尚のこと、

静かな景色です。

 

そこにどこからともなく

(勿論上からですが)

 

明るい椿の花が一輪だけ

は・・・と落ちてくる。

 

その瞬間。

 

・・・イメージいただけたでしょうか?

 

椿が落ちる=不吉や、

お住まいが豪雪地帯で雪が降ったら

椿をみてるどころじゃない。

もしくは 椿は『ボトッ』と落ちるもので

決して『は・・・』とは落ちてこない。

などのご意見も多々あると思いますが、

あくまで個人のイメージです。

あしからず。

 

 

話が脱線しました。

『精彩を放つ』

反対に、

ぱっとしないこと、 さえない様子の事を

『精彩を欠く』といいます。

 

ご存じない方は是非 あわせて覚えてください。

 

 

第五回 いっとうちをぬく

【一頭地を抜く】

ひとつ頭飛びぬけて他より優れている事。

学問・学芸が他より秀でている様子。

ひときわ優れている事。

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【類似語】

抜きん出る・(他より)秀でる・ずば抜ける・抜群

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【使用例】

一頭地を抜いている意見。

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―由来は宋史蘇軾伝にあり。

 

 

このことばの出典は『宋史』

計496巻からなる中国の正史です。

資料としての不備があり、 後の歴史家から非難轟々。

文章も蕪雑らしいです。

ちなみに未読です。

 

 

『蘇軾(そしょく)伝』

こちらの人物は多少、

学校の授業などで触れたことがあります。

この蘇軾という人。

いわゆる昔の偉い人です。

 

最高の詩人とされ、文筆家でもあり

書画も嗜んだという 北宋代随一のインテリです。

それだけでなく

様々な 四字熟語を後世に送り出しました。

 

一刻千金

佳人薄命

行雲流水

 

一度は見たことのあるだろう

有名どころの四字熟語あげてみました。

蘇軾本人が一頭地を出でた存在だったのでしょうね。

 

 

閑話。

話は現代に移ります。

学生時代に絶大な人気を誇る

日本語の苦手な英語の恩師(日本人)がいました。

その先生が一頭地を抜くの英語訳の例に

 

a towering figure と教えてくれました。

なぜだか今も忘れられません。

 

高くそびえ立つような人。

つまり巨人。

直球です。

 

それよりもこの先生が

一頭地を抜くという単語を知っていたことに

生徒一同関心していましたが、

 

「これで私の汚名挽回ですね!」

 

先生のこの一言でオチがつきました。

・・・確かにその通りです。

 

小学・中学・高校と学年が上がるに連れて

先生の個性が強くなるのには

何か因果関係があるのでしょうか?

今後どこかで取り上げてみたい問題です。

 

 

さて、

 

蛇足として 一頭地を抜く。

と字面が似ている

 

“自頭が良い”

 

という言葉もあります。

様々定義があるようですが、

こちらの意味をさくっと説明すると

 

“頭の回転が速く考える力が強い人の事。”

 

を指し、一頭地を抜くとは 少しニュアンスが違ってきます。

使うときは注意してくださいね。

 

一頭地を抜く。

改めて理解すると

ずば抜けた才能に対する褒め言葉として

今日まで脈々と受け継がれてきた

美しい言葉ですね。

 

 

第四回 けんえんのなか

【犬猿の仲】

どのようなことをしても相容れない間柄。

仲が悪い様子。

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【類似語】

不和・対立・天敵・折り合いが悪い

水と油

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【使用例】

彼と彼女は犬猿の仲だ。

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干支が語源なのではないかと勘違いしていたのですが、

 

違いました。

 

干支の話で確執あるべきはネズミと猫ですね。

事実、この動物たちは仲良くはないでしょう。

 

語源を調べてみたところ 桃太郎や陰陽道の五行の話、

西遊記の孫悟空の話などがヒットしました。

大変興味深く読んでいたら 瞬く間に時間が過ぎてしまったことも

正直に書き添えておきます。

インターネットの怖いところです。

 

しかしながら、

せっかく仕入れた情報なので 紹介しておきます。

題して

 

【犬猿の仲の語源は干支ではない】

 

干支は元々方角を表すもので覚えやすくするため

後づけで動物を当てはめたもの。

 

つまり桃太郎は 申(猿)・酉(雉)・戌(犬)を伴って

鬼退治に西の方角に向かったという話です。

 

確かに申と犬が喧嘩してたら 鬼ヶ島に向かう前に船が座礁します。

もしくはその前に桃太郎が 猿か、犬をスタメンから外すでしょう。

結論はタイトルにかいてあります。

 

 

では犬猿の仲の語源とは。

そもそもの話。

申と犬というのは性質が異なったもの同士です。

昔の日本人のイメージから

 

猿は山で群れる動物。

犬はご主人様と狩りに出る動物。

 

もしくは

 

猿は人里に降りてきて害を及ぼす動物。

犬はそれらの害から守る動物。

 

なので、

出会ったらまず威嚇し合う事から 由来が来ているのだろう。

という説が個人的に納得が行きましたので 紹介しておきます。

 

いがみ合うだけなら 他の動物でもよかったのでしょうが、

身近におり(あくまで昔の話です)

表情が分かりやすいという点から

犬と猿という2匹の動物になったのではないか

と個人的に推測しております。

 

犬猿の仲について色々書きましたが、

それよりも

身の周りの気の合わない人と

そりを合わせる方法を考えた方が

より建設的かつ平和的ですね。

 

第三回 じっぱひとからげ

【十把一絡げ】

様々なものを一つに纏めて扱うこと。

区切りなしにひとまとめに扱うこと。

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【使用例】

人の感覚は其々違うので十把一絡げにはできない。

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調べ途中“十羽ひと唐揚げ”という

素敵に気になる単語も発見しました。

察するに、大食漢の事か腕のいい料理人。

もしくはカーネルさんが店先に立ってるお店のことを

暗喩的に指す単語だと思われます。

 

 

さて、

 

 

十把一絡げの話題です。

似た単語はあったのですがニュアンスが少し異なりますので

今回は同義語を省略させていただきました。

対義語に近いものとしては

『十人十色』や『多種多様』 などの言葉があります。

 

“把”とは束になっているものをさします。

つまり十の束を一つにからげてしまうという事を

語源とした、割と直球な言い回しです。

 

絡げるという言葉。

この単語以外であまり聞いたことがありません。

同義語としては纏める、束ねる、絡める。

などがあげられます。

つまり、大体そういった意味です。

 

 

先日、猫の毛の色で性格を見分ける方法の記事を拝見しました。

調べてみたところ、自宅の猫は総合的に見ると生まれながらに賢く、

穏やかな気性の猫らしいのです。

が、

現実は生後3ヶ月で襖に自分専用の穴を開け

カーテンに駆けのぼり柄と格闘。

おもちゃのぬいぐるみは1週間ともたず無残な姿で廊下に散る有様。

月日は流れ、

七歳になった愛猫の最近のブームは

自らビニール袋に頭を突っ込み しばらくパニクる事です。

 

・・・穏やかさとは・・・一体?

 

人間の性格診断では星座占いや 血液型占いなどがあげられますが、

これらがまさに十把一絡げる行為だと思います。

 

猫でさえこの有様なのにいわんや人をや。

 

世界って広いですね。

第二回 のべつまくなし

【のべつまくなし】

途切れなく、休みなく物事が続く様子。

ひっきりなく続く様。連続して物事が続く様子。

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【同義語】

引っきりなく・次から次へと・絶え間なく。

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【使用例】

のべつまくなく会話が続く。

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のべつまくなし。 の“まく“は“幕”から来ており

芝居、舞台などの幕を引かずに演じ続けることが

この言葉の由来になっているようです。

また“のべつ”とは“述べつ”と書きます。

 

“述べ”に“つ”(助動詞)がついたことにより

切れ間なく続く様を表しているので

同じ意味の単語を重ねた言葉なのですね。

 

余談ですが調べたところ誤用が多い言葉らしく

間違いで多かったのは

 

のべつ暇(ひま)なく。と、のべつ隈(くま)なく。

 

のべつ暇なくは、間違いにしても“暇がない”

転じて暇なく物事を続ける事と解釈できるので

言いたい意味はよくわかります。

 

“隈(くま)”の方がなぜ間違うのか? と

疑問を深めたのですが、発音的には

まくとくま・・・

成程、大変よく似ています。

さらには『隈なく探す』という言葉から

休みなく探す事につなげて 間違って覚えてしまったのではないか?

という説もあるようです。

 

ここまで来ると個人的には

よく考えたでしょう!

と、○をあげたいところなのですが、

日本語の問題では完全に×のようです。

 

演劇中、幕を引かず続けるという

はっきりとした由来がわかれば

『のべつ幕なし』という漢字が当てはまり

間違うことはなくなりますね。

 

・・・きっと。

 

 

第一回 にべもなく

 

【 にべもなく 】

愛想がない。思いやりがない。とりつきようがない。
そっけない。という意味。

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【 同義語 】

そっけなく・けんもほろろに・すげなく

いずれも、愛想ない態度のことをさします。

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【 使用例 】

にべもなく断る。

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普段何気なく使っていたこの言葉。
ある日ふと思いました。

 

“にべ”とは一体なんぞや?
そういう経緯があり調べてみました。
この言葉にべもなく。

 

結論から言うと
にべとは魚から作った膠のことでした。
にべという魚の浮き袋を煮て膠をつくりました。
その膠の名前もニベといったそうです。

 

にべ=膠だったようです。

 

膠(にかわ)とは元々、煮皮と書き、
動物の皮からとった接着剤のことです。
今でも固形のものが日本画や楽器などに使われています。

 

学生時代の日本画の授業で初めてお目にかかりました。
膠で53cm×45cmのパネルに銀箔を貼り付ける作業です。
対する銀箔は15cm×15cmサイズで1枚600円
高い!いや案外安い?
逡巡しつつ慎重に慎重に貼り付けた結果、
小指がターミネーターになりました。

 

ともかくその粘着力たるや・・・という代物です。
その粘着力の強さから人とのつながりの
比喩に使われるようになったというのが語源だそうです。

 

また、にべもないの強調した言い回しとしては

 

『にべもしゃりもない』

 

と言うものがあるらしいです。
こちらは使ったことも使っている人も見た事無いのですが
ねばりけも、しゃりしゃりした所もない
という手応えのなさを表現しているそうです。

 

こちらは使うタイミングがあるのかないのか
怪しい単語ですが知ってて損はありません。
大変勉強になりました。

 

しかし第一回目にして
この単語のチョイスはいかがなものだろうか?
という、にべもない感想を持つ自分もいます。

 

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自分の語彙を増やしつつ、文章を書いています。気が向いたらどうぞ。

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