第十八回 ひとはだをぬぐ

【一肌を脱ぐ】
・相手のために本気になって力を貸す事。

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【類義語】
・一肩脱ぐ

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【英語表現】
・To stretch a helping hand
・to give (one) a lift
・Lend a helping hand

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【使用例】
困ってる人のために一肌脱ぐ。

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一肌を脱ぐ
この慣用句、割と知名度は高いのですが、
意味を知っていても、冷静に文字のみを
見てみると大事件が起きています。

 

 

脱ぐの?肌を?
肌を脱いだらその下はつまり骸骨!

そんな馬鹿な・・・
いやいやそこまで本気出されても・・・
と思ったことはありませんか?

 

 

そんな方が自分以外に
存在するのか検討もつきませんが
解説していこうと思います。

 

 
さて、
一肌とは着物の袖のこと。
この言葉、時代劇などではよく使われますね。
元々は男性が使う言葉です。

 

 

 

着物は見た目通り動きにくいので
何か大仕事や肉体労働をするときは
片方の袖を脱いで作業をしていました。

 

 

そこから、
人に対して手を貸してあげる時の
表現として定着したのですね。

 

 

 

類義語に挙げた
『一肩脱ぐ 』も同じ意味ですが、
メジャーなのは『一肌脱ぐ』ですね。

 

 
あんたのために一肌脱ごう!
日本特有のいいまわし、
粋で人情味のあるいい言葉ですね。

 

 

 

昨年の・・・5月頃?の話ですが
地元の駅で紙を握り締め
明らかに道に迷っている外人男性と
目が合いました。

 

 

反射的にニコッと笑顔を浮かべましたが
内心、英語で話しかけられたらどうしよう
と軽くパニック。
案の定。

 

 

「Can you speak English?」
「いいえ、でも紙を見てもいいですか?(日本語)」

 

 

我ながらひどい。
彼が握りしめていた紙を見てみると
漢字で駅名が書いてありました。
よかった!これなら案内できる!

 

 

安堵しながら駅名を調べてみたところ
JRではなく路面電車の駅だということが判明!
成程、迷うわけです。

 

 

しかし!
英語は喋れない!
どうする!

 

 

ふと見上げると不安そうな外人男性。
仮にトーマスと呼びます。

 

 

とりあえずのミッションは
このお使いの最中に道に迷って
落ち込んでいる大型犬の様なトーマスを
駅から連れ出し徒歩2分の
路面電車の乗り場に連れていくこと。

 

 

以下はジェスチャーですので
思い思いの身振り手振りを思い浮かべてください。
推定約2mのトーマスと

身長160cm前後の日本人のパントマイムです。

 

 

管理人   『大丈夫。こっちだよ。』
トーマス『え!分かったの?』
管理人  『そうだよ。』
トーマス『そうかよかった。』
管理人  『行こうか。』

トーマス『あれ?駅出ちゃうよ?』
管理人  『駅を出るよ。』
トーマス『でも駅ここだよね?』

 

 
・・・困りました『路面電車』

 

 

この英単語が出てきません。
トーマスも不安そうにしています。
そして、自分の口から飛び出た
英単語は・・・

 

 
「ロ、ローカルトレイン!」
「0h! Local train OK!」

 

 

これは酷い。
数分後に気づいたのですが
ローカルトレインその意味は各駅停車・・・。
路面電車の正解は Streetcar ですね。
そのままじゃないか!
何故この単語が出てこなかった!
もどかしい!

 

 

 

トーマス全然OKじゃないよ・・・。
ごめんよトーマス。
ある意味で路面電車は各駅停車ですから
間違ってはいませんが・・・あんまりな英語力。

 

 

その後、不安がるトーマスを連れて
なんとか路面電車の乗り場を
目視できる場所まで行きました。
その時のトーマスの顔は忘れられません。
まさに飼い主を発見した迷い犬の表情でした。

 

 
『そうだよ!僕はこの電車を探してたんだ!
不安だったけどついて来てよかった!
こっからは自分でいけるよ、ありがとう!』
みたいな顔とジェスチャーをしてました。

 

 
「Thank you!」
「では良い旅を(日本語)」

 

 
と笑顔で別れました。
めでたしめでたし。

 

 

格好良さも粋っぽさも微塵もありませんが。
以上。
他人のために自分が一肌脱いだお話でした。

 

 

さて、このように
英語力が壊滅的にできない自分ですが
海外からおこしの皆様のコメントは
ありがたく拝読させていただいています。
その感謝をここで述べさせていただきます。

 

 

いつもありがとうございます。
では次回!

第十七回 きがおけない

【気が置けない】
・気を使うことなく、気楽につきあえる事。また、そのような間柄。
・遠慮したり気をつかったりする必要がないこと。

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【類義語】
・気の許せる
・気心の知れた

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【英語表現】
・easy to get on with
・affable
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【使用例】
気が置けない友人を持って幸せだ。

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『気が置けない』ですが
意味を勘違いされる事が多いですね。

そのまま読むと
気持ちが、置けない訳ですから
警戒している様な印象を受ける言葉ですよね。

 

 

意味は真逆です。
気が置けないとは
『気を使うことなく、気楽につきあえる様。』
をさす言葉です。

 

 

今回はこの言葉の矛盾を紐解いていきましょう。

ポイントは2つです。

 

 

①『置けない』をどのように解釈するか?

置けないという言葉を
『置く事ができない』という『可能』の意味で取ると、
気持ちを置くことができない意味となります。

 

 

そこから油断ができないという意味に
間違えてとられがちなのですね。

 
ここでは置けないを『自発』のニュアンスで捉えるのが正解。
特に意識しなくてもしてしまう。

つまり、『置こうとしなくても置いてしまう』
という意味になるのです。

 
②『気を置く』という表現に注目する!
ここでいう『気』とは油断や緊張をする
という意味ではなく
『気を使う』『遠慮をする』という意味の気。

 

 

この2つを掛け合わせて
気が置ける=気を使おうとしなくても気を使ってしまう
ということ。

 
転じて『気が置けない』とは
気を使おうとしても気を使ってしまう。事が無い!
つまり『気楽に付き合える』
という意味になるのです。

 

 

 

個人的には説明しきった気分で
自己満足状態ですが
この説明でお分かり頂けたでしょうか?

 

 

英語表現では単語で表す事ができますね。

 

 

『気が置けない』は、
日本特有の遠まわしな意味の表し方ですし、
あんまり頻繁に使う表現ではないで、
初めて聞いた方は混乱するでしょうね。

 

 

稀にこういう言い回しがあるから
会話がすれ違うことがありますよね。
日本語ってもどかしいです。

 

 

しかしながら
気の置けない友人や家族とは
人生において大変ありがたいものです。

 
そういえば本当に個人的な話ですが
今日は母の誕生日で丁度
還暦(60歳)を迎えます。
時が経つのは早いもんですね。

 

 

誕生日に限らず、
気のおける人には日々謙虚に、
わかりやすい方法で
感謝の気持ちを表したいですね。

 

 

何かいい話的なオチがつきましたので

今回はこの辺で。ではまた次回。

第十六回 めいきょうしすい

【明鏡止水】
・邪念がなく澄み切った心の様子。またその状態

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【類義語】
・虚心坦懐

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【英語表現】
a mind as serene as a polished mirror
a mind undisturbed by evil thoughts.

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【使用例】
明鏡止水の心境で鍛錬に励む。

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熟語カテゴリを全く取り扱っていなかったので
今回は四字熟語を紹介します。

 

 
明鏡止水
出典は荘子の『徳充符(とくじゅうふ)』です。
お隣の中国の有名な荘子さんが筆者です。

 

 
徳充符は
人間、その姿や形がどうであれ、
その精神によってその人物の価値が決まる。

 

 

という、万民平等の教えを書き記したもの。

『一切をあるがままに受け入れることこそ
徳が充実しているという証。』
といったような話が載せられた書物です。

 

 

 

昔、魯の国に犯罪で足を切られた
王駘(おうたい)という名の人物がいたそうです。
彼は有名な孔子と肩を並べる程の弟子を抱えて
大変徳の高い人とみなされていました。

 

 
しかし受刑者で足もなく
講義をするわけではなかったので
そのことを不思議に思った孔子の弟子が、
王駘という人物について孔子に尋ねたところ。

 

 

 

「流れている水は鏡にならない。
静止した水は鏡になり万物を映し出す。
王駘はいわば静止した水のような人なのだ。」

 

と、孔子はこう答えて
いつか自分も教えを請いたい。
といった事がこの熟語の由来になっているようです。

 

 

転じて。
明鏡止水とは
邪念がなく澄み切った心の様子。
またそのような状態をさす四字熟語として
後世に伝えられたそうです。

 

 

調べてみたら
かっこいい四字熟語として
ピックアップされてました。

 

 

こうして由来を見てみると
字面だけでなく意味も素晴らしいですね。

 

 

類義語に挙げた『虚心坦懐』
きょしんたんかい。
と読みますが、こちらも

 

 

『心になんのわだかまりもなく、
気持ちがさっぱりしていること。
心にわだかまりがなく平静に事に望むこと。』

 

 

 

という意味で、
明鏡止水と似たような
心の澄んだ様やゆとりのある様子を表す
四字熟語になっています。
あわせて覚えておくのもいいかもしれません。

 

 

 

 

英語表現は固めの文章しか見つける事が
できなかったのですが、なんとなくでも
理解していただけるとありがたいです。

 

 

 

心にさざ波が立てば相手の動きをとらえることはできない。
したがってこのような明鏡止水はの精神は
剣道でも尊ばれているようです。

 

 

 

武人でもなんでもなくても
こういった心境で諸事に励みたいものですね。

第十五回 いちじがばんじ

【一事が万事】
・ひとつの行動でその人物を推し量ることができること
・ひとつのことから、ほかの全てがわかること。
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【類義語】
・一事を以て万端を知る
・一を以て万を知る
・一事成れば万事成る

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【英語表現】
a single instance indicates what happens all the time.
one case gives you an idea of what always happens.

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【使用例】
人の行動には一事が万事その人の人格がでる。

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この慣用句、一事が万事。
『一事』が正解です。
『一時』は間違いです。

 

 

テストに出るかどうか分かりませんが
どうぞお違いのないように。

 
この一事が万事という言葉、
一般的にはあまりよくない場面をみて、
他の面でも良くないだろう・・・。

という使われ方をすることが多いですね。

 

 

しかしながら、
かならずしもマイナスなイメージのみを
指して使う言葉ではありません。

 

 

あくまで、ひとつの事柄から
察するにほかの事柄もその調子になるだろう。
という意味です。

 

 

 

類義語に載せている
・一事を以て万端を知る
・一を以て万を知る
・一事成れば万事成る
なども
言い回しが違うだけで
意味は同じですね。

 

 

 

日本ではオープンに
他人への評価を口に出すことは稀です。
褒める時も、叱る時もです。

 
そして行動や言動で
その人物の人格や能力を図る際、
この『一事が万事』のものさしは使われがちです。

 

 

つまり、何が言いたいかというと

 

 
日本ではひとつの行動、言動から『この人はこういう人だ』
という評価を下される事が多々ありますよ。

 

 

という話です。
気が抜けないったらありゃしない。

 

 

さて、
『一事が万事』の反対の意味として
『木を見て森を見ず』
という言葉もありますので
少しこちらも言及しておきたいと思います。

 

 

【木を見て森を見ず】
一本一本の木に気を取られて森全体を見ないことから転じて、
”ひとつの物事に気を取られて全体を見失うこと”を意味します。
~You cannot see the wood for the trees.~
英語表現もそのままですね。

 

 

何はともあれ一事が万事。
人の目を気にして生きるよりは
自分のために『一事』に全力を尽くす。
そうすれば『万事』うまくいく。

 

 
・・・といいのにな。
希望的観測を最後に
第十五回を終わります。

 

プロフィール

自分の語彙を増やしつつ、文章を書いています。気が向いたらどうぞ。

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